のらりくらり日記です。
by e000e0009
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運命の不思議

 私はむなしく逃げまわった。私の邪悪な運命はまるで喜び勇んでのように私を追いかけて来て、その運命の不思議な支配がまだ始まったばかりだということを示した。私はパリへ足を踏み入れるや否(いな)や、このウィルスンが私のことに憎むべき関心を持っていることの新たな証拠を見た。幾年も過ぎ去ったが、そのあいだ私は少しも心の安まることはなかった。悪党! ――ローマでは、どんなに折悪(おりあ)しく、しかもどんなに妖怪(ようかい)のようなおせっかいをもって、私の野心の邪魔をしたことか! ウィーンでも――ベルリンでも――またモスコーでも! まことに、心のなかで彼を呪(のろ)うべき苦い理由を持たなかった所がいずこにあったか? 不可解な彼の暴虐(ぼうぎゃく)から、私はとうとう戦々兢々(きょうきょう)として疫病(えきびょう)から逃げるように逃げた。そして地球のはてまでも私はむなしく逃げまわった。
 再三再四、私はそっとわが心に問うた、「彼は何者であるか? ――彼はどこから来たのか? ――また彼の目的はなんであるか?」と。しかし答えは一つも得られなかった。それから今度は、彼のあつかましい監督の形式と、方法と、主要な特徴とを、細かな詮索をして吟味してみた。けれどもそこにすら推量の基礎となるべきものはほとんどなかった。実際、気のつくことは、彼が最近私の邪魔をした多くの場合のすべてが、もしそれがほんとに実行されたなら忌(い)むべき害を生じたであろう計画や行為に限られていたのだ。だが、これは、あんなに横柄(おうへい)に揮った権力にたいするなんという貧弱ないいわけであろう! 自由行動という生得の権利をあんなに執拗(しつよう)に、あんなに無礼に否定されたことにたいするなんという貧弱な損害賠償であろう!
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by e000e0009 | 2006-04-14 11:46
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